2026年8月4日から11日まで、岩手県宮古市の宮古市民文化会館にて、メディアアート展とお化け屋敷を組み合わせた「人類保存アーカイブ 幽宮場『Strange Time −移ろひのまにまに−』」を開催しました。

本企画では、感性インフラストラクチャー研究室 (KIL) 主宰の川北輝さんが、AIによって人間の意識や記憶がデータとして保存される50年後の未来を構想。AI、デジタル技術、日本の伝統文化、祈りや怪異といった要素を組み合わせ、鑑賞者自身が空間を歩きながら物語を体験するメディアアート空間をつくりました。

会場では、AIとの対話、特殊な光によって現れる人々の痕跡、鳥居や手水舎、狛犬など、日本文化を想起させるモチーフをデジタル技術と融合。鑑賞者の存在や行動によって、作品の意味や見え方が変化していくインスタレーションを展開しました。

さらに、この世界観をもとにステージ上では、演劇ユニット「せのび」主宰の村田青葉さんが創作怪談「ヒトの怪」を書き下ろし、脚本・演出を担当。俳優の菊池佳南さんによるリーディング公演も行われました。観客が会場内を回遊するなかで、生身の俳優による声や身体表現がメディアアート空間と重なり、現実と虚構、人間とAIの境界が変化する体験を生み出しました。

作品の中心にあるのは、「テクノロジーが人間を支える存在から、人間を保存・管理する存在へと変化したとき、私たちの感性はどうなるのか」という問いです。

便利さや効率性だけでは捉えきれない、人間の記憶、恐怖、祈り、違和感といった感覚を、未来の物語として身体的に体験できる場をつくることも、KILが考える「感性インフラ」の実践のひとつです。

今回の取り組みは、岩手県内の複数メディアにも取り上げられました。

IBC岩手放送では、ラジオ番組「ワイドステーション」内のコーナー「ラジオでアート」にて、本企画や川北さんのアート活動についてご紹介いただきました。

また、NHK盛岡放送局では「生成AIが支配する未来の宮古 新スタイルのお化け屋敷」として取り上げていただき、生成AIが社会に浸透した未来を「メディアアートと融合したお化け屋敷」という体験形式から考える取り組みが紹介されました。

研究成果を論文や学会発表として社会へ届けるだけではなく、作品や空間、物語として表現し、さまざまな人が実際に体験できる形にすることも、KILが大切にしている活動です。

今回の宮古での実践と、そこから生まれた地域の方々、アーティスト、メディアとの接点を、今後の研究や制作へとつなげていきます。

【開催概要】

人類保存アーカイブ 幽宮場
「Strange Time −移ろひのまにまに−」

会期:2026年8月4日(火)〜8月11日(火)
会場:宮古市民文化会館 中ホール

主催:特定非営利活動法人いわてアートサポートセンター
共催:宮古市
企画:宮古市民文化会館